レシチン
レシチン(Lecithin)という名前は、ギリシャ語で、卵黄を意味するレシトース(Lekithos)からでた言葉で、リン脂質(フォスファチド)と呼ばれる脂質の一種の事です。私たちの体の中は、水溶性のものと脂溶性のものから成り立っていますが、その仲立ちをしてくれるのが「レシチン」なのです。
人間も含めた、生物は細胞からできている事はよく知られていますが、細胞が細胞膜を通じて物質を取り入れたり、排泄したりできるのもレシチンのおかげなのです。
細胞の原形質はたんぱく質を主として、これに核酸や脂質や色々な塩類溶液が混じってできたケロイド状の物質でできていて、レシチンを構成する必須不飽和脂肪酸、イノシトール、コリン等は動脈硬化や肝硬変の予防に役立って、新陳代謝を促進する機能があるので、体の構成単位の「細胞」から老廃物を排泄させて、若さを保つ作用が重要視されているのです。
つまり、レシチンは、生命の基礎物質で、人体のすべての細胞の中に必要な栄養分を吸収して、不要な物質を排泄する出入口の門番の役目をしているのです。
レシチンは、元々はリン脂質の1種類のホスファチジルコリンの別名でした。しかし、現在ではリン脂質を含む脂質製品のことをレシチンと呼んでいます。
そのため、レシチンと言ってもリン脂質だけでなく、一般的には他の脂質(中性脂質、コレステロール、糖脂質など)も含んでいます。市場などでは原料に何を使用しているかで分類されて、卵黄を原料としたものを卵黄レシチン、大豆を原料にしたものを大豆レシチンと呼んで、区別しています。
レシチンの働き
一人の人間が持っている細胞の数は、約60兆個と言われていますが、これらの細胞は毎日いくつかが亡くなり、いくつかが再生されて、約1年もすると全部の細胞が新しく入れ替わります。これらの一つ一つの細胞の中には必ずレシチンが含まれていて、全部のレシチンの量は、体重60Kgの人で600g程度になります。私達の身体に必要な栄養は血液から運ばれます。特に、脂肪がエネルギーとして利用されたり、貯蔵されたりするのには、たんぱく質と結びついて血の中を移動しますが、このたんぱくと脂肪を結合させるのにレシチンの力が必要なのです。
また、水と親しみにくい脂肪のコレステロール、中性脂肪、脂肪酸等と一緒になって、水に溶けやすくする役目もはたしていますし、さらに細胞の中からコレステロールを取り除く時に働く酵素の作用を助けたりもします。このようにレシチンは、体内のいたるところの細胞膜や細胞の核の中で、毎日、新しい細胞を作り、細胞に必要な酸素や栄養分を吸収して、不必要な物質を排泄する役目をしているのです。この「レシチン」が減って、栄養分や酸素が充分入ってこなかったり、新しい細胞を作れなかったり、不必要な物質が出て行かないで細胞の中にたまったしてしまうと、たちまち細胞は不具合を起こしてしまいます。
ですから、レシチンの働きは、細胞が常に不具合を起こさないように細胞膜をきれいにして、次々に新しい細胞が生まれるための働きをしているのです。つまり、細胞の一つ一つをみずみずしく保つ働きをしてくれているといえます。
レシチンの必要性
細胞が完全に栄養を摂取することが健康体でいられる基本です。しかし、細胞を養っていく上での栄養効率は、細胞の種類はもちろん、各々の細胞の状態によっても差があります。ですから、私達の体内のすべての細胞が、いつでも完璧な栄養摂取を行える状態を保たなければいけません。
細胞が完璧な栄養摂取を行えなくなってしまうと、細胞の働きが低下して、健康が維持できなくなって、最後にはいろいろな病気を誘い込んでしまうことにもなります。
レシチンは、人体のすべての細胞の中で必要な栄養素を吸収して、不必要な物質を排泄する出入口の門番の役割をしているのですから、体内のすべての細胞には欠かせない成分で、各々の細胞の働きに応じた化学構造をしたレシチンがあるわけなのです。
レシチンを含む食品
レシチンが不足してしまうということは、いわば細胞が故障するようなものです。私たちの体は、、頭痛体質悪化、カゼをひきやすい、疲れやすい、不眠、脳の疲労、老化現象、冠状動脈疾患、糖尿病、腸の異常、動脈硬化、悪玉コレステロールの沈着など多くの病気の引き金になってしまいます。ですから、レシチンを日頃から摂取することで、健康な細胞を維持していかなければなりません。
レシチンが豊富に含まれている食べ物には、卵黄、大豆、穀類、ゴマ油、コーン油、小魚、レバー、ウナギなどがあげられます。
レシチンの効果
レシチンの一番大きな役割は界面活性剤としての働きです。つまり、レシチンは親油性(油になじむこと)の働きと、親水性(水になじむこと)の働きの両面の役割を持っています。
レシチンの親油性の働きが、血管の内壁にこびりついたコレステロールを溶けやすくしたり、細胞の中の老廃物を親油性と親水性の両方の働きにより、血液の中に溶かし込んで血行をよくしたりもします。いわば、天然の乳化作用の役割をするのです。このために、レシチンは細胞の重要な構成成分と言われるわけです。
このようにレシチンには界面活性剤としての作用や、生命維持のための基礎的な働きがあるので、下の表のような効果が期待されています。
レシチンに期待される効果 |
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@ |
コレステロール値を下げ、動脈硬化性疾患を予防し、胆石を防ぐ |
A |
老化を防止する |
B |
脳細胞の活性化を促すので、記憶力を増大させる。 |
C |
神経細胞を活性化させるため、自律神経失調症、不眠症、神経衰弱、精力減退などを防ぐと共に |
D |
肌を美しくし、皮膚疾患(シミ、ソバカス)を予防する |
E |
女性のための特別食品として注目されており、ぜい肉をとり、肥満や妊娠中毒症を防止する |
F |
高血圧、心臓病、肝臓病、糖尿病、血栓症、貧血症、腎臓病、不妊症などの予防や治療に有効 |
G |
その他、各細胞への栄養補給に役立つ |
レシチンとコレステロール
動脈や静脈中にコレステロールが平常異常に多く蓄積された場合に、動脈硬化が起こって、高血圧を引き起こします。しかし、コレステロールには動脈硬化症を積極的に防止する高比重の善玉コレステロール(HDL)と、有害な低比重の悪玉コレステロール(LDL)の2種類がありますが、レシチンにはHDLの善玉コレステロールを増やして、LDLの悪玉コレステロールを減らしてくれる働きがあります。
レシチンは血中のコレステロールを溶かして運ぶと言われているわけです。事実、試験管内での実験結果では、レシチンはコレステロールを乳化してしま事が分かっています。
このようなことから、レシチンは、コレステロールの蓄積を、細胞や血液中で調整してくれているのではないかと考えられています。
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最終更新日:2022/12/12